兵庫県震災復興研究センター

阪神・淡路大震災の直後の大混乱の中で、いち早く被災者の暮らしの復旧、被災地の復興を目標として、日本科学者会議兵庫支部と兵庫県労働運動総合研究所が共同で個人補償の実施を中心内容とした「震災復興のための提言」を1月 29日に国と被災自治体に提出しました。そして、この2つの研究機関を母体に1995年4月22日、兵庫県震災復興研究センター(震災研究センター)が設立されました。

報道するラジオ 阪神・淡路大震災から18年、復興の現実 千葉さんの長田報告&震災研究センター出口俊一さんのお話(2013/1/18)

2013年1月18日
毎日放送MBS)“報道するラジオ”
阪神・淡路大震災から18年、復興の現実
千葉猛アナウンサーの長田報告&震災研究センター出口俊一さんのお話

 神戸市須磨区の永岡浩一です。今日(2013年1月18日、午後9時〜10時)の毎日放送(M
BS)“報道する報道するラジオ“の書き起こしまとめです。

 私は障害者で、“福祉乗車証”を持っているから地下鉄海岸線、タダだから利用しますが、金を払って利用しようとは思いません(笑)。

 

 “報道するラジオ”、今週もアナウンサーの水野晶子さんの司会、「毎日新聞」ほっと兵庫編集長の平野幸夫さんの案内で放送されました。昨日(1月17日)で阪神・淡路大震災から18年、平野さんは神戸におられて今もお住まいであり、いつも接している人と報道との乖離があり、復興した、復興の例と言われることに平野さんは危惧があると言われました。
神戸は復興したのか、その疑問に、今持ち上がっている問題、アスベスト問題もあり、神戸は復興しているのか、今抱えている問題について、今日は報じます。

 阪神・淡路大震災18年、まず、追悼式典をアナウンサーの千葉猛さんが取材されました。どう伝えていくかについて、改めて18年経ち、今、地震で何が起きたかを伝えていくために、JR鷹取駅近くの、小さな公園を千葉さん取材されました。

午前5時46分に黙祷があり、手の悴む寒さで70人集まり、お坊さんも15人集まりました。追悼の集いで若い世代に震災を伝えるため、9,10歳の子どもに、震災で亡くなった人へのメッセージを書いてもらうのです。ペットボトルを横半分に切り、上を取って、ろうそくを立てるペットボトルの灯篭を作り、そこにメッセージを貼るのです。道に灯篭を並べて、午前5時に灯篭に火を入れて、メッセージが道沿いに浮かぶ、300本あるのです。
 なぜ、子どもたちにメッセージを書いてもらっているか。天災に人間の力は微力、助けようとしても道具なし、その間に火が来て亡くなる。そういう光景を見ているから、人間の力は非力、命の尊さを伝えていきたい、18年欠かさずやっているのです。ここは地震のあとに火事になり、1区画で27人も亡くなったところです。

地蔵堂の前には紙が貼られ、合計98人亡くなった。子どもたちに震災のことを見つめてほしい、子どもたちにも追悼のつどいに来てほしいのです。子どもも自分の書いたものがあると来るのです。子どもも、祖父がなくなり来た、亡くなったことは悲しい、祖父の亡くなったことを、今協力してがんばったことを語りました。子どもたちも、お地蔵さんに手を合わせて、震災のことを語っているのです。子どもたちのメッセージ、亡くなった方々の分は私たちが生きる、粗末にしない、一日を大切にする、などです。
1・17、助け合った日を忘れないと、子どもたちが書いているのです。子どもたちのメッセージを目にして、地域の人は、学校で震災を教えても体験していないから分からない。文章で涙の出ることがある、大人たちが子どもたちに動かされるものもある、通じると言われました。地域の方同様、伝えたい気持ちがあるのです。
 地震を知っている世代がコツコツやって、若い世代に伝わるのです。平野さん、神戸の4割は震災を知らない人で、展示ではモニュメントもあるものの、語り継ぐものは貴重、土地の記憶を伝えるのが、次の世代に伝えるのが重要と言われました。慰霊祭とか大きいものは注目されるが、こういうものも大事なのです。千葉さんも、子どもたちのメッセージに心打たれたのです。

 そして、大震災から18年、復興の現実について、神戸・長田の再開発について、兵庫県震災復興研究センターの出口俊一さんと、新長田アスタで婦人服店を営む阿多(あた)澄夫さんのスタジオでのお話です。

東京のテレビだと水野さんも違和感もあり、被災した人の感触、水野さん、復興住宅からリポートし、高齢者、障害者の見守りで、東北に神戸の知恵がいると言うが、神戸のようにやると上手く行くと思っている人もいて、しかし積み上がった問題も迫っており、現実を言うと東北の方は唖然とされ、困り果てるのです。

平野さん、まち並みは戻っても、人間は復興途上なのです。それについても、千葉さんの報告で、長田区の再開発、千葉さん1月16日から長田に入り、新長田を見てビックリ、高層ビル、マンションが、アーケードのある商店街の両側にあり、長田とは下町と思っていた。
水野さん、そばめしを食べに行かれたのにイメージと違う。都会的なまちとなり、アスタという再開発ビルが10棟あり、大阪駅前第1〜4ビル、地下で繋がっているが、巨大なまちになり、アスタでは巨大なまちとなっているのですが、地下1階、お店の入るスペースはあるのに、ほとんどシャッターが閉まり壁と化し、ところどころ開いているのみ、圧迫感すら感じる。ビルの外の通りもシャッターの閉まっているところばかりなのです。
ビルのテナントの方、「ゴーストタウンになった、地下1階が繋がっているのに、客が分散して、1階は閑散としているのです」。

 新長田駅南地区、神戸の西の副都心として2,710億円かけて全国最大規模の再開発をして、20ヘクタールに40棟のビルを建てる計画が続いており、しかし地元の商店は、「2,700億円がどこに行った、お金かかっただけ住民が幸せになっていない」(紳士服ペットの谷本雅彦さん)、「ゼネコンは儲かった、上辺だけきれい、人はいない、空き床ばかり」(七福の横川昌和さん)と言われました。

 なぜ、賑わいが戻っていないのか。
出口さん、なぜこうなったと住民の嘆きがあることについて、まちの地元の意見が汲み尽くされず、震災前にエライ人が作っていた計画(西の副都心という計画は震災前からあった)を押し付けた。神戸市は地元の人に、「市民に悪いようにはしない」と言っており、市民は約束を信じて、この結果なのです。18年経ち、この始末です。

 阿多さん、婦人服のお店を、親の代からやり今年で50年、そのお店、震災前は今より2筋前、西神戸センター街の長屋(借地)でやっていて、商店が路面にあった。昔ながらの商店街にあったのです。
震災で寝ている時間に下敷きになったものを取り除く、階段も壊れている、でなかなか出られない。ものをどけて出て、柴犬は生きており、火の粉も飛んできた、路地の人間が出てきて、安否を確かめる状態で、火の手が店の前から噴出し、そこへ行くまで大変、シャッターも店もバラバラで、火が回り、西から火が来て3,4軒先で止まったのです。阿多さんのお宅も店もダメになったのです。
 その中で再開発、店は何とかやれて、他には仮設に行った人もいるが、7年後(2002年)に今のビルができて、行き場なし、今のところ(2階)しかなかったのです。被災者は管理処分があり、土地を持って建物を持っていると、再開発で神戸市が土地価格を決めて、試算し、結局お金を出すしかなかった。新しいビルの価格で買うのです、出資は従前の価格が1,790万円、今の店が2,000万円以上、銀行から借りて、被災して仕事が途絶え、震災特例で借り入れが出来て、新しい店舗のために借りて、空き地に立たず、取るところなし、借りるのに、銀行と折衝して借りられるかであり、何とか借りて、投資して、新しい店を出し、神戸市からは、まちにマスタープランがあり、建物の模型も見せられ、阿多さんの場所、メインストリート、1階のにぎわい作り広場、3層構造の筋にあり、そこへ入ったのです。

 夢を抱いて入り、残るなら土地を買ってくれとなり、テナントとして借りるなら大家から借りるもので、長田で仕事をする選択をして、銀行も金を貸して、その後、がむしゃらに仕事をしても、管理費と借金の返済が嵩み、震災前に比べて負担が増えた。それでもはじめの10年はやってきたが、無理な営業をして疲れてくる。
朝10時に開けて、夜の10時まで仕事をしても、リーマンショックでダメになり、これで返済の猶予をしてもらっても売り上げは落ちて、もう続けられない。お店をたたんでも、借金は残るが、もう続けられない。しかし土地は売れず、不動産屋は難しいと言い、床の価格が出ておらず、賃料が安い(他には貸しているため)。

出口さん、床が売れないこと、80平米1か月1万円の家賃は安いと思うが、それで貸し出しをしている区画が同じビルにあり、阿多さんのところが落ちているのはこのためで、不動産屋さんはよく知っている。2011年1月に開いたシンポジウムで、あるテナントから聞かされて初めて知った、安い賃料でないと神戸市も借りてくれる人なし、内装費用も神戸市が出す(阿多さんは自分で出したのに)。こんなことが一方でやられたら、阿多さんは今の物件を売ろうにも売れない、しかしこのままだと損失が増えるばかりなのです。

 千葉さん、神戸市の都市計画総局に聞くと、「再開発が失敗した」という意見もあるが、まちの人の意見を聞いてやっているので失敗とは思わない。売れていないことは、売却は進まず、半分は神戸市のスペースで、96%は埋まり、家賃をただにしているところはないと報告されました。
 出口さん、無料はない、内装費を行政が負担することも行政はあまり大きく言わないのです。千葉さん、固定資産税を減らしたりしたが、経済不況で仕方ないと神戸市は言うのです。しかし出口さん、都市計画総局、「心配はない」と95年に言い、阿多さんもそれを信じた、努力が足りないと神戸市は言うが、神戸市が住民の意見を聞いていたらこんなことにはならない、失敗、成功ではなく、何とかしないといけない現実を見るべきだ。議会でも4つ5つの会派が取り上げている。現実を見たら、解決策は出てくるのです。
出口さん、再開発は時間もかかる、大阪の阿倍野も時間がかかり、復興に再開発をかけたことの疑問もあるのです。いかに住民の生活を取り戻すべきなのに、商売も続けられず、土地も売れない人もいる。管理費、固定資産税毎月8万円、年金で返せない、床を手放せないと身は破滅する。再開発計画の総括もいるが、今、何ができるかなのです。復興がしていないのです。
 千葉さん、神戸市の考え、賑わいづくりを考えており、出口さん、それだけではダメ、阿多さんの固定資産税の減免など、市の条例でできる。新長田駅再開発の空き床には役所の機能ももって来る、また若い人が長田に張り付かないとダメ。いくつも方策があり、知恵を持った人は神戸市にいる、長田を素晴らしいまちにするために、神戸市も努力すべきなのです。
 このまま44棟建てる計画はそのままであり、その計画は立ち止まるべき、その前に目の前の人を助けるべきと、出口さん言われました。

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 私・永岡も神戸の人間で、近くの新長田の窮状は良く知っていますが、これが、震災から18年を経た神戸市の現実です。私のいるところもゴーストタウンなのです。リスナーより、神戸市民としてメール、神戸では一番大きな通りすらシャッター街、行政がハコモノを先行したとあり、平野さん、住民も原状回復をしたが、神戸市が経済情勢を見誤った(マンションの価格が下がっている、地下鉄海岸線も要らないのに作った)、ハコモノに頼った神戸市の行政の責任と言われました。
これも、私に無断でいくらでも広げて、神戸の現状を多くの方に伝えてください。やはり、今の毎日放送ラジオだとこの“報道するラジオ”が一番書き起こし甲斐があります。
 なお、ラジオフォーラムですが、私は明日、所要で夕方外出するため、書き起こしは土曜の夜か、あるいは日曜のFMわいわいを聞いてやります。
 そして、キー局のラヂオきしわだの、土曜9時からのネット放送は前回、アクセスが殺到して、繋がりにくかったそうです。そのため、他の局の放送も分散して聞いてほしいとのことです。

 土曜日に放送されるのは:
 5時から札幌・三角山放送   http://www.sankakuyama.co.jp/
 6時から福島・FMPOCO  http://fm-poco.co.jp/
 8時から宮城・FMいわぬま  http://www.fm779.com/
 8時から茨城・FMぱるるん  http://fmpalulun.co.jp/
(1月26日から)
4時から石川・ラジオこまつ  http://www.radiokomatsu.co.jp/
 10時半から奈良どっとFM  http://www.nara.fm/

 明日(1月19日)第1回放送:
6時から徳島・B・FM791  http://www.bfm.jp/
 6時から熊本・FM791  http://fm791.jp/
10時から鹿児島・おおすみFM http://0033fm.net/

 以上から聞けます、ご参考まで。