兵庫県震災復興研究センター

阪神・淡路大震災の直後の大混乱の中で、いち早く被災者の暮らしの復旧、被災地の復興を目標として、日本科学者会議兵庫支部と兵庫県労働運動総合研究所が共同で個人補償の実施を中心内容とした「震災復興のための提言」を1月 29日に国と被災自治体に提出しました。そして、この2つの研究機関を母体に1995年4月22日、兵庫県震災復興研究センター(震災研究センター)が設立されました。

『大震災15年と復興の備え』の新聞記事の紹介 その2

朝日新聞(2010年4月5日付)の記事です。

「震災15年 復興への提言/神戸」
http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000001004050001

 

 震災の調査や研究をしている県震災復興研究センター(神戸市中央区)が、阪神大震災の復興施策に対する提言や課題をまとめた「大震災15年と復興の備え」(クリエイツかもがわ)を発刊した=写真。15年の節目に合わせ、震災復興に使われた公共事業費の検証や、復興に必要な新たな法制度の提言などが主な内容だ。
 執筆したのは大学教員やNGO関係者ら20人。国や県、市町などが財源を負担した復興事業823項目の総事業費約16兆3千億円について、事業主体が出している資料などを元に復興と関係ある事業か無関係か――を「仕分け」した。
 その結果、復旧・復興事業は約10兆8千億円(66・5%)、「今後の防災にかかわる事業」は約1兆6千億円(10%)で、残り約3兆8千億円(23・5%)は「復興事業と関係ない通常事業に当たる」と結論づけた。
 これについて県復興支援課は朝日新聞の取材に対し「復興計画に基づく事業であり、事業費はすべて復興に関係したものと考えている」と反論している。
 同書ではほかに、震災障害者をめぐる問題や震災アスベスト対策など、これまであまり光が当たらなかった課題についても解説。関西学院大の災害復興制度研究所が発表した災害復興基本法(試案)の全文も掲載している。
 センターの出口俊一事務局長は「震災から15年たっても脆弱(ぜいじゃく)なままの復興法制度をはじめ、次の大規模災害への備えを確立する一助になれば」と話し、同書を鳩山首相や関係省庁に送るという。
 A5判136ページで1260円(税込み)。問い合わせは同センター(078・371・4593)へ。

(清野貴幸)