兵庫県震災復興研究センター

阪神・淡路大震災の直後の大混乱の中で、いち早く被災者の暮らしの復旧、被災地の復興を目標として、日本科学者会議兵庫支部と兵庫県労働運動総合研究所が共同で個人補償の実施を中心内容とした「震災復興のための提言」を1月 29日に国と被災自治体に提出しました。そして、この2つの研究機関を母体に1995年4月22日、兵庫県震災復興研究センター(震災研究センター)が設立されました。

『大震災15年と復興の備え』の新聞記事の紹介

『大震災15年と復興の備え』の新聞記事の紹介です。

「神戸」(4月3日付)・「毎日」 (4月4日付)の新聞記事を紹介します。

神戸新聞(2010年4月3日付)の記事です。
「災害復旧・復興のあり方提言 県震災研が検証本」
http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/0002835112.shtml

毎日新聞(2010年4月4日付)の記事です。
「防災:明日に備える 兵庫県震災復興研究センター 震災15年教訓に提言」
http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20100404ddlk28040234000c.html

 

神戸新聞」(2010年4月3日付)の記事です。

災害復旧・復興のあり方提言 県震災研が検証本
http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/0002835112.shtml
 市民団体「兵庫県震災復興研究センター」(神戸市中央区)は、阪神・淡路大震災から15年の復興を検証した「大震災15年と復興の備え」を出版した。復興過程で新たに生じたり、明らかになったりした問題を「復興災害」と指摘し、今後の災害を見据えた復旧・復興のあり方を提言している。


 同センターは1995年4月に設立。大震災後の自然災害も含め、各分野の専門家らが復興検証を続けている。

 「大震災15年と‐」は被災地の現状と課題を報告。「復興災害」として神戸空港の建設や復興まちづくりの問題などを挙げ、復興事業費用も検証した。ようやく光が当てられ始めた問題として、「震災障害者」や震災遺児、アスベスト被害などを示した。

 「避難所」「応急仮設住宅」など19項目の復旧・復興への備えを提言。復興法制の確立をとなえ、復興理念を明示した「災害復興基本法」案と、具体的な手続きを定めた「災害復興推進法」案の全文も紹介した。

 かもがわ出版。1200円(税別)。兵庫県震災復興研究センターTEL078・371・4593

(岸本達也)

(2010/04/03 10:23)

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毎日新聞」(2010年4月4日付)の記事です。

防災:明日に備える 兵庫県震災復興研究センター 震災15年教訓に提言 

http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20100404ddlk28040234000c.html

 阪神大震災の復興過程を市民的な視点から検証し続ける「兵庫県震災復興研究センター」(神戸市中央区)は、「大震災15年と復興の備え」を出版した。総額16兆3000億円を投じた復興事業は何をもたらしたか。15年が経過した今なお残る「復興災害」とは何か。出口俊一事務局長(62)に話を聞いた。【重石岳史】

 ◇国制度のあり方、新刊で検証

 ◇「復興災害」繰り返さない

 −−これまでも復興の提言をしているが、今回新たに出版したのはなぜか

 震災の復興制度はいまだ確立されていない。15年の節目に改めて復興過程を振り返り、国や自治体、国民に必要なことを提案していく必要があると考えた。震災10年で「大震災10年と災害列島」を出版し、10年間の復興を検証したが、この5年間で明らかになった課題もある。

 −−それは何か

 震災復興で10年間に投じられた16兆3000億円の詳細な内訳が明らかになった。我々はすべての事業を洗い出し、復旧・復興、防災、通常の三つに「仕分け」した。その結果、復旧・復興に66・5%、防災に10%、通常に23・5%が充てられたことが分かった。

 −通常事業には「関西国際空港2期事業」なども含まれている。

 通常事業とは、復旧・復興に結びつかない従来型の公共事業。大震災の被害総額は約10兆円とされるが、16兆3000億円もの税金が確実に復旧・復興に使われたのなら、復興は今よりも進んでいるはずだ。本当に必要なところに充てられたのか、今も被災者が苦しんでいるのはなぜか、我々が震災直後から議論している問題だ。

 −−震災で心身に障害を負った「震災障害者」の問題についても光が当たりつつある

 震災障害者の問題を解決しなければ復興したとは到底言えない。兵庫県や神戸市がようやく調査に乗り出したことは一歩前進だ。しかし、調査するだけでなく、災害弔慰金法の基準緩和など法改正を積極的に国に働き掛けるべきだ。基準が緩和された場合、大震災の被災者にも適用されるよう特例措置を講じなければならない。

 −−国への提言は

 被災者生活再建支援法は、被災者が声を上げて唯一制定された法律だが、これだけでは不十分というのが我々の思いだ。「復興災害」を繰り返さないためにも、復興に何が必要か制度化しなければならない。今回、「災害復興基本法案」と「災害復興推進法案」を明記し、復興にかかわる国の制度のあり方を具体的に提言した。

 −−防災や被害想定への取り組みは震災前より進んでいるように見える

 どんなに減災しても被害がゼロになることはない。現状では復旧・復興の施策がぜい弱で、法的な枠組みから欠落している。特に人への支援は決定的に弱い。現に15年たっても大震災の復興は終わらず、課題が山積している。災害時に被災自治体が国との協議に時間と労力をさくのではなく、被災地と被災者の再建に全力を注げるよう、例えば復興基金の基本的な枠組みを整えるなど今のうちに法整備を急ぐべきだ。それが「復興の備え」だ。

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 ◇大震災15年と復興の備え

 大学の研究者や弁護士、建築家、NGO関係者ら20人が執筆。復興事業費の検証結果や復旧・復興への19の提言のほか、神戸空港▽新長田駅南地区再開発▽震災障害者▽震災アスベスト被害▽災害弱者−−の5分野の「復興災害」を報告している。A5判136ページ。定価1260円。問い合わせは、兵庫県震災復興研究センター(078・371・4593)。