内閣府へのパブリックコメントの提出は、9月2日(日)までです。
多くの国民の声を伝えていきましょう。お忙しいとは存じますが、是非ともお願い致します。
「被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告」に対する意見募集
→こちらをどうぞ http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public
意見(コメント)を提出されましたら、当方にも送信して下さい。各位に転送し紹介致します。
1.パブリックコメントの募集要領は、以下の通りです。
「被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告」に対する意見募集要領 平成19年8月3日
内閣府政策統括官(防災担当)
被災者生活再建支援制度は、平成10年に制定された被災者生活再建支援法に基づき、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者であって、経済的理由等によって、自立して生活を再建することが困難なものに対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して、支援金を支給することにより、その自立した生活の開始を支援する制度です。 本制度は、平成16年に改正が行われていますが、この法案審議の際に、施行後4年を目途として、制度の見直しなどの総合的な検討を加える旨の附帯決議が採択されました。今年で施行後3年を経過することから、3月から被災者生活再建支援法の見直しに向けた検討会を設置して議論を行っているところです。 今般、その中間報告がとりまとめられましたので、中間報告に対して、下記の要領により国民の皆様からの御意見を広く募集します。 お寄せいただいた御意見につきましては、検討会に報告し、本年末に予定している最終報告の取りまとめに向けた議論に活用させていただきます。 ー記ー
1.意見募集の趣旨・目的・背景 被災者生活再建支援制度に関する検討会は、これまで5回にわたって開催され、被災自治体など関係者からのヒアリングを行うとともに、能登半島地震の被災地に赴き被災の実情等を聴取するなど、精力的に検討を重ねてきました。 今般示された中間報告は、中間的な報告として、現状の問題点を整理して、目指すべき制度改正の基本的な方向を示すとともに、考えられる限りの改善方策をその問題点と併せて示したものとなっていますが、これは最終報告に向けて検討を進めるに当たり、各層からの幅広い御意見が寄せられることを期待しているものです。
2.意見公募の対象となる中間報告及び関連資料の入手方法 (1)内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(災害復旧・復興担当)室において配布 (2)内閣府防災情報のページ(http://www.bousai.go.jp/hou/kentou/tyukan.html)に掲載
3.意見の提出方法 (1)インターネットによる提出 http://www.iijnet.or.jp/cao/bousai/opinion-fukkou.html (2)郵便 〒100‐8969 東京都千代田区霞が関1‐2‐2 内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(災害復旧・復興) 被災者生活再建支援法担当 (3)ファクシミリ 03‐3581‐89334.意見の提出上の注意 提出の御意見は、日本語に限ります。また、個人は住所・氏名・性別・年齢・職業を、 法人は法人名・所在地を記載して下さい。これらは、個人や法人を特定できる情報を除 き、公表する場合もありますので御了承願います。 また、御意見に対して個別の回答は致しかねますので、その旨御了承願います。なお、電話での意見はお受けしませんので御了承願います。
5.意見の提出締切日 平成19年9月2日(郵便の場合は当日までに必着のこと)
6.資料 ・被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告(本文及び参考資料) ・被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告(概要)
以上
内閣府へのパブリック・コメント/文例(津久井進氏)のご紹介です。
津久井進@兵庫県弁護士会です。 「被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告に対する意見」(パブリックコメント)の期限は,9月2日(日)です。何か叩き台があった方がいいと思い、叩き台の案(ファックス版)を作ってみました。よろしければ、ご利用下さい。インターネットで出す場合は、こちら→http://www.iijnet.or.jp/cao/bousai/opinion-fukkou.htmlが便利です。 パブリック・コメントは,内容もさることながら,とにかく一つでも多く出すことも大事です。各自で適当に加除訂正して,一人でも多くの声を届けましょう。
内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(災害復旧・復興担当)室 御中
FAX03‐3581‐8933
2007年8月 日
住 所
電話番号・FAX番号
氏 名
被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告に対する意見
1.住宅本体への支出を求める 支援金の使途を,被災住宅の解体・撤去費やローン利子等の関連経費に限定せず、住宅建設費、購入費や補修費等の住宅本体の費用も支出の対象として認めるべきである。
2.支出対象の弾力化を求める 居住関係費の支出対象を,全壊住宅の補修費用,事業用の店舗・作業所・倉庫,賃貸住宅の賃貸人,地盤修復費などにも広げ,生活関係費の使途を限定せず被災者の自律的判断に委ねるべきである。
3.支給要件等の緩和を求める 支給要件のうち年齢要件・年収要件を撤廃し,対象となる被害についても半壊世帯,床上浸水世帯を含めるべきである。
4.支給事務の簡素化を求める 支援金支給の手続き、被害程度の判定手続き,要提出書類の範囲等を簡素化すべきである。
5.被災自治体の裁量権の拡大を求める 被災自治体が適用要件や支給基準の細目,事務処理方法等について被災自治体の裁量権を大幅に認めるべきである。
6.支給額の引き上げと財源の確保を求める 支給額の上限を500万円程度に引き上げるとともに,財源となる基金を満額(600億円)に充実させ,国の予算(平成19年度予算額3.1億円)も基金規模に見合ったレベルを確保(または基金への国の拠出)すべきである。
7.首都直下地震を想定した検討と区別を求める 首都直下地震のような超大規模被害のフィージビリティを考慮して制度の改善が先送りになることは相当でなく,首都直下地震については,上限額の設定,国主導の特措法の策定などを検討し,他地域については一刻も早く改正を行うべきである。
8.能登半島地震,新潟県中越沖地震への遡及適用を求める 本検討会の開始以降の大規模災害については、改正法を遡及適用すべきである。 以 上
2007年8月26日「被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告」に対する意見 出 口 俊 一
1.両論併記を乗り越えてより踏み込んだ内容に「3.制度改正の選択肢と課題」には、大小35項目にわたって「現状」「趣旨・利点」「指摘される問題点」がまとめられていますので、「現状と課題」はよく理解できます。しかし、「2.制度見直しの基本的考え方 (2)制度見直しで目指すべき方向」に述べられている内容との関連が、いまひとつ不明確ではないでしょうか。「大小35項目」にはすべて両論併記がされていて、「制度見直しで目指すべき方向」の具体化がいまだなされていないからではないでしょうか。
2.「制度見直しの基本的考え方」に沿って具体化を 「制度見直しで目指すべき方向」は、下記の4点にまとめられています。 ○被災者から見て分りやすく、被災者の自立意識、生活再建意欲を高める制度に ○被災者に対して支援の気持ちがストレートに伝わるような制度に ○非常体制となっている被災自治体に過重な事務負担を掛けない制度に ○全体としての公費負担低減に寄与する制度に 住宅再建支援策を確立することこそ、これらの方向に沿うことになると思われます。一例を申し上げます。■住宅の応急修理・・・・・・・・・・・・・・ 50万円→災害救助法■仮設住宅・・・・・・・・・・・・ 300〜400万円→災害救助法■復興公営住宅・・・・・・ 1500万円〜2700万円→公営住宅法※「復興公営住宅」の1戸あたりの費用については、通常1500万円という数字が使用されていますが、兵庫県は2700万円(土地購入代を含む)という数字を自然災害議連の会議や兵庫県発行の『復興誌』で使用しています。 これらは、現行制度で支出される住宅に関する費用の中心だと思います。住宅再建支援策があれば、仮設住宅→復興公営住宅に入らなくても元の場所で再建できて、そして、「被災者に対して支援の気持ちがストレートに伝わるような制度に」なると思われます。災害救助法や公営住宅法、そして被災者生活再建支援法と各制度があちこちの法律の中にパッチワーク的にあるものですから、今回の改正作業の中で、被災者生活再建支援法の中に住宅再建に関する他の法律の条項を移してはどうかと思います。 従来、自然災害議連や旧国土庁の検討委員会での議論の中でも阪神・淡路大震災で仮設住宅や復興公営住宅に膨大な支出をしているのであるから、今後、住宅再建支援策を確立しておいた方がトータルに見れば公費の支出減になるのではないか、という意見が、繰り返し表明されていたことを記憶しています。 例えば、被害規模のよく似た二つの地震後の仮設住宅と復興公営住宅(能登は未定)の建設戸数を比較すると、鳥取の方は、地震から11日目の300万円の住宅再建支援策が奏功して、仮設住宅と復興公営住宅の建設戸数を抑えることができたと言えます(片山善博・前鳥取県知事談など)。 鳥取県西部地震(鳥取県分) 能登半島地震 ○全 壊 391棟 590棟
○半 壊 2472棟 1170棟
○一部損壊 13195棟 10278棟
◎住宅支援策 300万円 100万円
○仮設住宅 28戸 334戸
○復興公営住宅 26戸(町村営)
現在、検討中 1995年の阪神・淡路大震災以降の自然災害で、?住宅の応急修理、?仮設住宅の建設、?復興公営住宅の建設、?災害援護資金、?住宅再建支援策の有無、金額などの件数又は戸数と金額のデータが整理されれば「全体としての公費負担低減に寄与する制度に」ということが実証されると思われます。3.制度見直しの具体的内容 制度見直しにあたっては、以下の内容を盛り込んで下さい。
(1)住宅本体はもちろんのこと、店舗も併せて対象にすること。
(2)生活関係経費と居住関係経費等の区分を撤廃し、当面500万円に引き上げること。
(3)収入・年齢制限の撤廃など支給条件を緩和すること。
(4)支給対象災害・世帯をいっそう拡大すること。
(5)今回の改正にあたっては、2007年3月の能登半島地震災害に遡及適用するとともに、2004年10月の新潟中越地震以降の自然災害に対しても同等の措置をとるようにすること。以 上
関西学院大学災害復興制度研究所客員研究員
出 口 俊 一
650-0027神戸市中央区中町通3-1-16、サンビル201号
電 話 078-371-4593/ファクス 078-371-5985
Eメール HYPERLINK "td02-hrq@kh.rim.or.jp" td02-hrq@kh.rim.or.jp
「被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告」に対する意見
(1)支給要件の緩和と支給額のアップ、(2)住宅自体(補修・再建)への支出容認、(3)地方の裁量権拡大、という方向が適切であると思う。これらは既に多くの自治体、関係者および専門家から出されていることであり、それらに同意する。 さらに、生活再建策を練ってきた一研究者の立場から、(1)2段階方式の生活支援策、(2)財政的にフィージブルな公助・共助を組み合わせた財源措置策、を提案したい。具体的には次の通り。緊急生活支援経費効率性(迅速かつ抑制的行政コスト)と公平性の視点から、災害救助法が適用される事案につき、災害発生後1ヶ月以内を目途に、現住居の一部居住関係経費 住宅の解体撤去、補修、再建、ローン利子等の居住関係経費を、半壊以上の世帯を対象に最高500万円を限度に支援する。従来の支給要件の不都合な部分を是正し、地方の裁量で執行できるように改める。巨大規模災害時の財源措置 検討会が予算制約を意識している点は評価できるが、意識しすぎて腰が引けていると思われる。大規模な災害リスクにも対応し得るフィージ 以 上
平成19年8月20日
神戸大学名誉教授、広島修道大学教授、関西学院大学復興制度研究所客員研究員
豊田利久
連絡先:E-mail: HYPERLINK "ttoyoda@shudo-u.ac.jp" ttoyoda@shudo-u.ac.jp
TEL:(082)830-1772
被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告に対する意見
2007年8月25日
住所 神戸市中央区海岸通1-2-31 神戸フコク生命海岸通ビル5階
氏名 兵庫県保険医協会理事長 池内 春樹
被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告に対し意見を表明します。 中間報告の「3 制度改正の選択肢と課題」で取り上げられている「趣旨・利点」の多くは阪神・淡路大震災直後から被災地、被災者の切実な願い、要求として要望し続けているものであり、盛り込まれたことに敬意を表するとともに、その実現をつよく期待するものです。
阪神・淡路大震災直後には、被災者の生活再建のための現金給付はなく、住み慣れた街での暮らし・住宅・営業再建はおろか、遠く離れた仮設住宅や災害公営住宅への抽選入居などにより、コミュニティも断ち切られるなど被災者と街の復興を大きく遅らせました。 災害援護資金等融資中心の支援策は法定返済期限の10年を過ぎた12年目のいまもなお返済を求められ、呻吟している被災者は少なくありません。
こうした阪神・淡路大震災被災地の深刻な実情と大きな世論・運動を背景に1998年に被災者生活再建支援法が作られ、2004年に改正されましたが、住宅本体建設に適用されないばかりか、低い支給金額、年齢・所得制限等厳しい適用要件にたいし、その後の自然災害被災地からも多くの批判が出されており、その後の災害においては鳥取県をはじめ被災自治体が独自に支援策を拡大しています。 「住宅」は暮らし、医療、福祉をはじめ街づくりの土台です。とくに高齢被災者にとっては元の場所に住みつづけることが切実な願いです。
被災者生活再建支援法見直しにあたって以下の改善をつよく求めます。
住宅本体に適用すること。
支給金額を500万円に引き上げること。
収入、年齢など支給基準を撤廃すること。
店舗再建にも適用を拡大すること。
一部損壊、床上浸水にも適用を拡大すること。
「全壊10世帯/100世帯」の適用災害規模要件を撤廃し、すべての被災区域に適用すること。
わかりやすく、使いやすく制度にすること。
迅速に適用・運用すること。
すべての被災者が暮らし再建へ希望を持って踏み出すことができるように改正されることを強く望みます。
「被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告」に対する意見書
2007年(平成17年)8月22日
会 長 道 上 明
被災者生活再建支援法は、阪神淡路大震災における被災の経験から、被災者の自立的な生活再建を支援する制度の必要性が自覚され、1998年(平成10年)に成立した。その後、2004年(平成16年)4月の法改正によって「居住安定支援制度」が創設されるとともに、衆参両院の災害対策特別委員会において「居住安定支援制度等の充実を図るため、本法の施行後4年を目途として、制度の施行状況等を勘案し、制度の見直しを行うなどの総合的な検討を加えること」などを内容とする付帯決議が採択され、現在内閣府に設置された「被災者生活再建支援制度に関する検討会」において改正内容についての検討が行われている。 2004年(平成16年)の法改正後、台風23号や新潟県中越地震、能登半島地震など、多くの自然災害において改正法が適用されてきたが、支援金支出対象の制限、年収・年齢要件その他細かい支給要件による制限、支給金額の不十分等々多くの問題点があり、未だ被災者の十分な救済からはほど遠いのが実情である。近時の新潟県中越沖地震をはじめ、大規模な自然災害が発生するたびに、被災地からは、真に被災者の要望に応えられるよう、支援のあり方を一刻も早く見直すべきだとの声があがっている。 そこで当会は、阪神・淡路大震災の被災経験をもつ単位弁護士会として、被災者生活再建支援法が、真に被災者の自立的な生活再建を可能とし、被災者に安心と希望を与える制度となることを願い、今般、「内閣府の被災者生活再建支援制度に関する検討会」によって発表された「被災者生活再建支援制度見直しの方向性について‐被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告‐」に対し、意見を述べるものである。
【意見の趣旨】
1、居住関係費の支給要件の緩和
(1) 住宅本体への支出 居住関係費の支出を、被災住宅の解体・撤去費やローン利子等の関連経費に限定せず、住宅建設費、購入費や補修費等の住宅本体の費用も支出の対象として認めるべきである。
(2) 全壊住宅の補修費用等 罹災証明において全壊と判定された住宅であっても、補修を行って使用を継続しうる場合には、住宅の補修費用並びに補修に係る撤去費用、ローン利子を支出の対象として認めるべきである。
(3) 住宅所有者の弾力的判定 親族間での住宅所有者の認定は、所有名義のみに拘泥せず、生活実態を勘案して弾力的に判定すべきである。
(4) 住宅以外建物への支援 支援金支出の対象を、住宅のみならず、事業用の店舗・作業場・倉庫にも拡大すべきである。また賃貸用住宅の賃貸人にも支援を拡大すべきである。
(5) 地盤被害に対する支援 自然災害による被害が地盤に及んでいる場合、住宅には直接被害が無くとも、地盤の修復費用等を支援金支出の対象として認めるべきである。
2、生活関係費の使途拡大 生活関係費の使途は限定することなく自由化し、被災者の自律的判断に委ねるべきである。
3、支給上限額の引上げ 現在法定されている支援金上限額は300万円であるが、これを住宅本体への支出等、改正の方向性を踏まえた適切な金額に引き上げるべきである。
4、支援対象世帯の拡大
(1) 年齢要件の撤廃・年収要件の緩和 年齢要件は撤廃し、年収要件は緩和して、一定の高額所得者以外は支援対象とした上、支給の基準については被災自治体の裁量権を認めるべきである。
(2) 基準となる年収の見直し 支援の要件となる年収は、前年度の年収ではなく、申請時点での最新の年収額を採用すべきである。
5、罹災証明の被害認定
(1) 認定段階の精密化 現在被災者生活再建支援法により支援金を受けられる被害程度は全壊・大規模半壊の2段階のみであるが、支援の格差を解消するため、被害認定の段階をより細かく規定すべきである。
(2) 半壊世帯への支援 半壊世帯も支援の対象とすべきである。
(3) 床上浸水世帯への支援 床上浸水世帯も支援の対象とすべきである。
(4) 支援金支給事務の簡素化 支援金支給の手続き、特に被害程度の判定手続きや提出を求められる書類の範囲などを簡素化すべきである。
6、改正法の遡及適用 被災者生活支援法の改正法を2007年(平成19年)3月1日以降に発生した自然災害に対して遡及的に適用するべきである。
【意見の理由】
1、居住関係費の支給要件の緩和
(1) 住宅本体への支出について 現在居住関係費の使途は、被災住宅の解体・撤去費やローン利子等の関連経費に限定されており、建設費、購入費や補修費等の住宅本体の費用は、支援金支出の対象外とされている。しかしながら、住居が全壊或いは大規模損壊し、住居を建て直すしかない被災者、安全な住居とするためには補修を必要とする被災者にとって、建設費、購入費や補修費の負担は最大の問題である。住宅本体への支援がなされなければ、真の意味での居住安定支援にはならない。 この点国は、「住宅は個人財産であり、その保全も自己責任によるべきであって、税金による支援を行うべきではない」とし、「私有財産の形成に公費の支出は認められない」との立場をとってきた。 しかしながら、大規模自然災害により住居に大きな被害を受けた被災者に、住宅本体への支援金を支出することは、憲法の保障する私有財産制と何ら矛盾するものではないはずである。私有財産制度とは、国が個人の財産権を保障し、国家権力がこれを恣意的に収用することを抑制する制度であって、自然災害により財産的被害を受けた被災者を国家が支援することとは何ら矛盾しないからである。 また、憲法は、89条で公金の支出の制限を定め、宗教団体や公の支配に属さない事前・教育等の事業への支出を禁じているが、私人への支出それ自体は禁じておらず、むしろ国民生活の安定を図ることが国家の責務であることを考慮すると、「私有財産の形成に公費の支出は認めない」との考え方は、災害復興の場面においては適合しないというべきである。 加えて、住宅は、地域社会において、住環境や景観を形成する要素として公共性を有することが明らかであり、住宅の再建は地域社会復興への第1歩であると言える。従って、住宅の再建をすべて自己責任に委ねることは、妥当とは言えない。 また、住宅所有者のみへの資金提供となる点が、住宅非所有者との不公平を生じるのではないか、との指摘もあるが、借家人等にとっても住宅の早期再建が居住安定につながること、住宅再建等に一定の公共性が認められること等に鑑みれば、実質的平等の枠外に出るものではない。 よって、建設費、購入費、補修費といった住宅本体の費用も支援金支出の対象に含めるべきである。そして、被災者の具体的必要性に応じ、住宅建設・補修の設計費への支援、住宅の設備等への支援、集合住宅の共用部分への支援にも支出対象を拡大していくべきである。
(2) 全壊住宅の補修について 現在、全壊と判定された住宅の補修に係る撤去費用やローン利子は、支援の対象外とされている。しかしながら、全壊判定は基本的に経済的価値で行われているため、全壊判定とされた住居のなかにも構造的には補修で済む場合は考えられる。現に被災地では多くの全壊住宅が補修によって維持されている。 維持できる建物は可能な限り補修によって維持することが、コスト面や、早期の居住安定の見地からいっても被災者の要望にかない、また建物が一定の公共性を有することからも、補修によって建物を維持することには合理性がある。 よって、全壊と判定された住宅の補修に係る撤去費用やローン利子はもちろん、前記の通り補修費用そのものへの支援も対象とすべきである。
(3) 住宅所有者の弾力的判定について 現在、子どもが親名義の家に居住して被災した場合、子どもは非所有者扱いで、居住関係費の上限額は2分の1であり、被災した親の住宅を被災していない子どもが再建した場合は、子どもは被災者でないので対象外とするとの扱いがなされている。 しかしながら、このような扱いはあまりに硬直的であり、実情に沿った生活の再建支援につながらない。親子関係など一定の親族間では住宅所有の有無、被災の有無を弾力的に解するべきである。
(4) 住宅以外建物への支援について 現状では、住宅部分のみが支援の対象であり、事業用の店舗、作業場、倉庫等は対象外である。しかしながら、被災者の自立的な生活再建を可能にするためには、生業たる店舗、作業場の再建が不可欠であり、これらの再建なくして、生活の再建はあり得ない。また、地元商店街等の復興は、住民生活に不可欠であり、店舗、作業場の再建を支援することで、地域社会の復興にもつながる。 この点、災害救助法23条1項7号に「生業に必要な資金、器具又は資料の給与又は貸与」を行う旨定められているものの、事実上これらの給与又は貸与は行わない運用がなされてきており、このような法運用の実態を是正する意味でも、生活再建支援法によって生業たる店舗等の再建を支援することが強く求められる。 よって、支援金支出の対象として、被災者が営む個人事業又は小規模会社の店舗、作業場、倉庫も含めるべきである。 また、賃貸住宅については、あくまでも居住者が支援対象で、賃貸人は対象外とされている。しかしながら、民間賃貸住宅の再建がなされなければ賃借人の住まいも確保できなくなり、結局のところ多くの被災者を窮地に追い込み、地域の復興も阻害する結果になりうる。よって、賃貸用住宅に対する賃貸人への支援にも対象を拡大するべきである。
(5) 地盤被害に対する支援について 現状では、被害認定の対象は住宅被害に限定されており、地盤被害の修復に関する経費は支援の対象外とされている。 しかしながら、大規模な地震が発生したときは、地盤そのものに大きな被害を生じることがあり、住宅に直接の被害がなくとも、そのままでは居住できない場合や、土砂崩れなど、隣接地に悪影響を及ぼす場合は少なからず発生する。地盤に大きな被害が生じている場合、地盤被害の修復を行わなければ、生活の再建はそもそも不可能である。被災者生活再建支援法の目的が、生活の再建と居住安定の支援を目的とする以上、支援の対象を住宅被害に限定しなければならない理由はなく、地盤被害の修復に関する経費も支援金支出の対象として認めるべきである。
2、生活関係費の使途拡大 現在、被災者生活再建支援法に基づいて支給される生活関係費の対象は、家財道具等の生活に必要な物品、災害による負傷等の医療費、引越費用に限定されている。しかしながら、被災直後は生活費にも事欠く事態があり得るし、そもそも現在個人の生活スタイルは多様化しており、当面の生活の再建に何が最も必要かは、被災者個々人によって異なるのであるから、生活関係費の対象を上記のように限定することに合理性があるとは思われない。よって、生活関係費の使途は基本的に自由化すべきである。 また、支出対象となる家財道具等の生活に必要な物品の範囲も現在は限定列挙されているが、やはり限定すべき合理性は認められない。よって、限定列挙は排除し、被災者個人の自律的判断に委ねるべきである。
3、上限額の引き上げについて 現在法定されている支援の上限額は300万円であるが、前記のとおり、支援の範囲を住宅本体の費用にまで拡大するべきであり、これに伴い、支援金額の上限も引き上げるべきである。 なお、上限額については、住宅の再建について少なくとも平均1300万円程度の費用が必要となるとの試算があることから、650万円程度とするのが望ましい。
4、支援対象世帯の拡大について
(1) 年齢要件の撤廃・年収要件の緩和 現在、支援金支出の要件として、細かい年齢・年収要件が定められているが、これらの要件の設定によって、本来支援を必要とする世帯に支援金が給付されないという事態が生じている。例えば40歳で年収500万円を超えると、支援の対象とはならないのである。 しかしながら、支援の必要性の有無や程度が、年齢に応じて変化するとは必ずしも言えない。むしろ、働き盛りの若い年代層は、住宅ローンや子育て等の負担を抱え、支出も多いのであるから、若い世代への支援を拡大する必要があるとも言える。 また、このような支給要件の限定は、必要経費の種類の限定とも相俟って、被災地に無用な混乱を生じさせており、根本的に見直されるべきである。これまでの本法の運用状況を見ると、国の全国一律の基準による制度運用の中で、被災地の自治体が不合理な対応を余儀なくされたり、支給要件を細かく定めたために、制度の内容を説明するだけで大変な時間を要するという弊害も生じている。 よって、個々の被災者の被害の程度や生活困窮の程度に応じた支援を行うという見地から、年齢要件は撤廃し、年収要件は緩和して、一定の高額所得者以外は支援対象とした上、支給の基準については、被災者と直に接する被災自治体に裁量権を与えるべきである。
(2) 基準となる年収の見直し また、支援の要件となる年収は、現状では前年度の年収が基準となっているが、現に生活に困窮する被災者の生活再建を支援するため、災害による失業や営業停止などで所得が減少することを可能な限り反映させるべきであり、申請時点での最新の年収額を採用すべきである。
5、罹災証明の被害認定について
(1) 被害認定段階の精密化 現状は、住宅の被害程度は全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊の4つに区分され、支援金支出の対象となる被害程度は全壊・大規模半壊の2段階のみであり、全壊世帯には居住関係費の上限が200万円、大規模半壊の世帯には居住関係費が100万円支給されることになっている。 しかしながら、わずか1点の被害点数の違いで支援に100万円もの違いが出るという制度設計は合理的ではなく、被災者間でも不公平感が生じかねない。 よって、支援金支出の対象となる被害認定の段階をより細かく規定し、支援の格差を解消するよう改めるべきである。
(2) 半壊世帯への支援 現状は、単なる半壊は、そもそも支援の対象外である。しなしながら、半壊であっても安定した居住を確保するため、補修等の対策を講じる必要性があることに変わりはないのであるから、半壊世帯に対する支援は必要である。従って、半壊世帯に対しても支援金の支出を認めるべきである。
(3) 床上浸水世帯への支援 台風等の風雨を伴う自然災害の場合、住宅の構造そのものには問題はなくとも、床上浸水により家財道具が滅失したり、住宅に臭気が残ったり、衛生上の問題が生じたりすることがある。このような床上浸水の被災者も、生活基盤に著しい被害を受けており、住宅補修等の措置をとる必要性があることに何ら変わりはない。よって、住宅そのものが全壊、大規模半壊の状態にまで至っていなくても、床上浸水世帯にも支援を拡大すべきである。
(4) 支援金支給事務の簡素化 被害認定や支給要件の複雑さから、支援金支給事務そのものがかなり複雑化しており、一般の被災者にとって、支援金を受給することを困難にしている。よって上記の点に併せて、支援金支給の手続き、特に被害程度の判定手続きや提出を求められる書類の範囲などを簡素化すべきである。
6、改正法の遡及適用について 検討会が発足し、第1回検討会が開催された2007年(平成19年)3月1日以降、能登半島地震(同年3月25日)、台風第4号被害(同年7月中旬)及び新潟県中越沖地震(同年7月16日)と、立て続けに大規模な自然災害に襲われた。これら自然災害による被災地の被害はいずれも甚大であり、被災者は住居を失い生活再建の目処が立たないなど過酷な状況を強いられている。また、特に高齢者や子どもなど、援護を必要とする被災者は、長引く避難所生活によって健康状態が悪化し、また精神的にも不安定な状態に追いやられている。 被災者生活再建支援法は、検討会の意見とりまとめを踏まえた上で、2008年(平成20年)春の国会で審議される予定であるが、このままでは改正された被災者生活再建支援法は、上記3つの大規模な自然災害には適用されないこととなってしまう。 そこで、当会としては、改正法をこれら3つの自然災害にも遡及適用すべきであると考える。そもそも現在検討されている改正内容は、被災者への支援をより充実させ、事務の簡素化を図るところに目的があるから、改正前に生じた大規模災害に改正法を遡及適用することに何ら不都合はなく、むしろ改正の趣旨に合致する。しかも、平成16年に本法が改正された際、衆参両院の災害対策特別委員会において「居住安定支援制度等の充実を図るため、本法の施行後4年を目途として、制度の施行状況等を勘案し、制度の見直しを行うなどの総合的な検討を加えること」などを内容とする付帯決議が採択されており、被災者の生活再建支援の充実を目的とした改正を行うことが当初から予定されていたのであるから、立て続けに発生した上記3つの自然災害に改正法を遡及適用し、過酷な状況に置かれている被災者を支援することは、上記付帯決議の趣旨にも沿うはずである。 また、遡及適用を行うについては、法適用の公平性の観点からの配慮も必要となるが、平成16年改正後明らかとなった問題点を残したまま上記3つの災害に現行法をそのまま適用することこそ、硬直的な公平原理に基づくものというべきであり、妥当とは言えない。法改正に向けての検討作業が開始された後に発生した自然災害につき、改正法を遡及適用することには、十分な合理性が認められ、国民の理解も得られるはずである。 以 上
『被災者生活再建支援制度』に関する検討会中間報告に対する意見
後期高齢者に対する社会的配慮ある支援制度へ
現在、著しい高齢社会を迎えた日本において、後期高齢者の単独世帯 や、独居の後期高齢者が自然災害に遭遇して、住居を失ったり、健康を害して、災害以前ま での自立した生活が営めなくなった場合を想定し、『被災者生活再建支援制度』を充実させるべきだと思います。 「住居」は「医療」「介護」「年金」とともに語られるべき、最も重 要な国民生活の基盤である社会保障制度の「幹」であることを、行政サイドはもっと認識するべきだと思います。 具体的には、支援金の支給要件の緩和(年齢・年収要件の撤廃)、支援金の使途制限を撤廃(住宅本体への用途を認める)、そうして新たに前述した後期高齢者の被災者が増加することに重点を置き、現行では「介護保険」によって運営されている公的な高齢者施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)以外の、民営の老人施設などへの入居に掛かる費用にも支援金の使途を広げる等の、後期高齢者に対する社会的な配慮を要するべきだと思います。 厚生労働省では介護保険で運営されている公的な高齢者施設のうち、現在38万床ある療 養型病床の数を5年後には15万床にまで削減し、在宅介護へとシフトする予定になっています。しかし、この計画はたいへん厳しく、帰る家がない高齢者の受け皿をどう確保することができるのか、医療・介護現場では既に混乱が始まっています。 非災害時でさえ、施設介護から在宅介護への強化という大きな制度移行に伴う混乱が避けられそうにない現在、被災者のとりわけ後期高齢者に対して、十分な心身へのケアを行う事は、今後益々難しい局面を迎えます。因って『被災者生活再建支援制度』の適用に関してはより一層、柔軟な運用ができるようにしていって欲しいと思います。 阪神・淡路大震災では、コミニュティーの分断・崩壊によって社会生活に支障をきたした被災者の方々がクローズアップされました。特に高齢者の被災者に多くみられたこのような状態は、医学的に表現すれば「意欲障害」であり、これがきっかけで「鬱病」になってしまったことが推測されます。 一般的に、後期高齢者は日常生活においても「意欲障害」が出現します。この状態で慢性疾患を抱えると、軽度の鬱状態に陥ることが多くなります。この「高齢者鬱病」はたいへん多くの方々が抱えておられます。 もしも、そこに突然の自然災害で被害を被れば、たちまち「生きる意欲」が消失し不安な精神状態が高まって、重度の「鬱病」を発症してしまうことは容易に想像できます。後期高齢者が「意欲障害」から重度の「鬱病」を発症するまで、早ければほんの数日しか要しません。 こうした、高齢者に多くみられる「意欲障害」という精神的な症状に対して、行政が救える範囲は、残念ながら医学的にはあまり多くはありません。 しかし、せめて災害直後に使途制限のない支援金が支給されれば、少なくとも当面の経済的な不安は軽減し、重度の「鬱病」に陥る被災者を減ずることができるのではないかと期待しています。
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被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告(案)に対するパブリックコメント
住所 兵庫県尼崎市東園田町氏名 岩田伸彦(70歳)
過日、発表されました被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告(案)に対し、阪神・淡路大震災に関わった一人として、以下のように意見を表明致します。 中間報告(案)は、現状と趣旨・利点、指摘される問題点、の両論併記となっていますが、『趣旨・利点』が多岐にわたって述べられており、検討会でのご議論に敬意を表するものです。その中の、3.制度改正の選択肢と課題で取り上げられている趣旨・利点の多くは、阪神・淡路大震災直後から、被災者の切実な願い、要求として12年余にわたって要望し続けているものです。 ご存知のように阪神・淡路大震災直後には、被災者に対する直接現金給付は一切なく、それ故に、住宅再建も営業再建も暮らし再建もままならず、元の住み慣れたまちに帰れず、遠く離れた災害公営住宅入居など、まちの復興を大きく遅らせました。融資一辺倒の被災者支援策は、多くの悲惨な状況を作り出し、12年半後のいまも被災者に多くの困難に直面しています。 被災直後から貸し付けられた災害弔慰金法に基づく災害援護資金は、56,473人が1,309億円を借り受け、法定期限の10年を過ぎても261億円が未償還となっています。 150万円借り入れで月々500円の少額償還などの困難とともに、この間の自己破産は約2,700件(4.8%)、借受人死亡は3,000人(5.3%)を超え、緊急復旧資金貸付件数33,551件の内、代位弁済が4,510件(13.4%)となっていますが、この他の住宅ローンなど各種融資は同様の経過を辿っていると思われます。 阪神・淡路大震災発生から12年半、この間、1998年に被災者生活再建支援法が作られ、2004年に改正されましたが、住宅本体建設に適用されないばかりか、支給金額も低く、その上、厳しい支給基準などから、わずかばかりの恩恵を受けられる人も限定されており、被災地を中心に多くの批判が出されています。 「指摘される問題点」として、私有財産制度、個人財産形成と国家財政の問題があげられていますが、私有財産制度、個人財産形成問題は、財務省や財界など一部の少数意見に過ぎず、国民世論に明確に背を向けたものです。 阪神から公的支援実現を求めた要求に公的支援を拒否しながら、私有財産制度の本山たる金融機関救済に数十兆円の公的支援を行った矛盾、その恨みは消えることはありません。 財政問題は、無駄な公共事業、軍事費、談合、政党助成金、アメリカ軍基地撤去など、国民の目から見れば無駄と思われる問題は山ほどあり、それらの無駄を排することなどで財源問題はクリアできると考えます。 一日も早く、
住宅本体建設への適用、
支給金額を500万円に引き上げ、
収入、年齢など支給基準の撤廃とともに、新たに店舗再建にも拡大して適用するなど、すべての被災者が住宅・店舗再建、暮らし再建へ希望を持って第一歩が踏み出すことができるように、そして使いやすい被災者生活再建支援制度に改正されることを強く望みます。
「被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告」に対する意見
村井雅清(被災地NGO恊働センター)
被災者生活再建支援法のパブリックコメントに関連して、これまでの日弁連意見書はじめ、全国知事会や新潟県知事の提言などでほぼ整理されていると思いますので、私はNGOとして現場を見てきた視点から、意見を述べたいと思います。
‐コメント‐ 地盤崩落など二次災害の可能性が極めて薄いと判断された場合、もと住んでいたところでの住宅再建を優先的に考えたい。現実には、災害によって大規模半壊あるいは全壊認定を受けた住宅の中でも、補修再建が可能なケースが少なくない。地域の住宅様式や生活様式によって必ずしもすべてにあてはまらないが、例えば住宅の一部でも最低限の日常生活ができるような補修をし、その上で全体の完成までの補修費をさらに支援するという”2段階補修支援策”を実現して欲しい。 特に能登地域のような、間口が狭く奥行きが30?から90?もあるという特徴的な住まいの場合は、二段階補修による再建が可能である。
何故ならば、
1.仮設住宅に費やす費用および災害復興公営住宅に費やす費用を考慮すれば、上記のように補修費として二段階に支援しても、まだ費用軽減になります。この方式は、海外の被災地などでは「増殖型再建」といって都市計画の専門家の中でもすでに実践されており、インドネシア・中部ジャワでは、日本政府もこの住宅再建方式を支援している事例である。
2.もともと住んでいた住宅の一部の再建からスタートするということは、長年かかって確保してきた「住まい」という貴重な財産の再建(成り行き)を、近くで見ながら暮らしの再建を考えることが、その後の地域の再建にも影響を与える。
3.災害後の地域再建を計画するときに、個人の住宅であっても、当然ながら地域の貴重な資源でもあります。景観はもちろん、文化的な財産、住まいとしての伝統的資源、自然の価値など場合によっては、その個人の家が再建されないことは地域再建の致命傷にもなると考えられる。
補 足
3月25日の能登半島地震以来、幾度となく被災地に足を運んでいる。穴水町の更地の姿はまだ小規模であるが、それに比して輪島市門前町の更地の姿は大規模である。特にかつては、観光地としても賑わっていた「総持寺通り」は更地が多く、地域の再建に大きく影を落としている。おそらく、地震発生直後から専門家による充分かつ丁寧な相談がなされていれば、これらの更地の内、壊さなくてもよかった住宅は少なくないだろう。実際に門前町舘地区の大工さんは、変わり果てた町の姿を見るたびに「もったいない」とため息をついている。加えてこの方は、「大量の災害廃棄物をリサイクルとして有効活用すれば、充分住宅補修に活用できる廃材が少なくない」とも指摘されている。 さて総持寺通りの空き地対策を考えると、1個人の住宅再建の域を超えている。この地区は、地域全体の保存・再建をデザインしなければ甦ることはできない。さらに、総持寺通りに面した住宅のみならず、門前町道下地区、舘地区なども含めて全体の街並み保存という考え方を導入しなければ、総持寺祖院を中心にした貴重な参拝地および観光地の復活は不可能だと感じる。 それは、この門前町全体には名刹・古刹といえる寺院が非常に多い。総持寺祖院という修行寺1か寺のみならず、古代から信仰心の篤い特徴のある地域性を考えても、地域全体の再建をデザインすることが不可欠である。そしてこの特徴ある歴史性が、この地域を支える”祭り”にも影響しており、古代からの貴重な先人の文化を守っている。
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被災地NGO恊働センター代表
CODE海外災害援助市民センター 事務局長・理事村井雅清(むらい・まさきよ)
e-mail:murai@code-jp.org
【連絡先】兵庫県震災復興研究センター
650-0027
神戸市中央区中町通3-1-16、サンビル201号
電 話 078-371-4593ファクス 078-371-5985
Eメール td02-hrq@kh.rim.or.jp携 帯 090-5658-5242</div>