2012年1月31日
兵庫県震災復興研究センターの出口俊一です。
沖縄市泡瀬干潟埋立事業問題に関する日本科学者会議(JSA)沖縄支部よりのお願いへの兵庫県震災復興研究センターの返書(添付ファイル)を紹介致します。
ダウンロード:沖縄泡瀬埋め立て開発についてのご返事(Word)
2012年1月14日
兵庫県震災復興研究センター御中
日本科学者会議沖縄支部総務
亀山統一 発
突然メールを差し上げ失礼致します。
私ども日本科学者会議沖縄支部は、沖縄市泡瀬干潟において着工されている、国・沖縄県・沖縄市による泡瀬干潟埋立事業の中止を求めて、「泡瀬干潟を守る連絡会」に団体加盟し、工事の差し止め訴訟(第二次)を提起しています。泡瀬干潟埋め立て事業について、私たちは下記の3点の理由で反対しています。
(1)1千億円超の事業費に対して事業の必要性も経済合理性も全くないことから、即時中止して東北の復旧復興事業に回すべきこと。
(2)事業周辺海域は沖縄でも屈指の生態系の豊かさを誇る海域であり、事業により損なわれる環境の価値が大きすぎること。
(3)現行の事業計画は、一昨年の第一次訴訟確定判決における事業者側敗訴をうけて、昨年4月に変更されたものであるが、「3・11」後の変更でありながらその教訓を全く反映していないばかりか、当初計画よりも埋め立て地盤高が下げられさえしていること。
裁判を進める上で、上記の論旨を立証していく必要がありますが、(3)の地震・津波対策が事業者の計画において十分に盛り込まれているかについて、専門家に検討していただき、意見書を書いていただくことを希望しています。しかし、沖縄県内で適任者を見いだせませんでした。
その中で、貴センターの『東日本大震災復興への道−神戸からの提言』を拝読し、震災についての総合的な分析に感銘をうけ、貴センターの会員の専門家に、泡瀬干潟埋立事業についての事業者作成の計画資料から地震・津波対策に関わる部分をご覧のうえ、分析結果のご教示と、可能であれば意見書の作成をしていただくことができればと考え、ご相談のメールを差し上げた次第です。
つきましては、1.17も迫る中で大変ご多忙のところ恐れ入りますが、埋め立て地における地震・津波対策について分析いただける貴センターの会員またはつながりのある専門家をご紹介いただくことはできませんでしょうか。
なお、泡瀬干潟を守る連絡会の概要及び、私どもが提供できる資料は下記のようなものです。ご参考の上、ご検討下さいますよう、お願い申し上げます。
泡瀬干潟を守る連絡会
http://saveawasehigata.ti-da.net/
http://www.awase.net/
事業の図面は、
沖縄県は、http://www.awase.net/maekawa/kentetudukihenkou.htm
の2.沖縄県設計概要説明書です。
国は、http://www.awase.net/maekawa/newsub10.htm
添付図書(1)設計概要説明書 です。
沖縄県の埋立地の地盤高は変更前に比べ、変更後(現在の計画)はC.D.Lで1m下げられ4mです。
国は、地盤高は変更前に比べ、変更後(現在の計画)はC.D.Lで20cm下げられ6.3mです。
海抜とCDLの関係を私たちのHPで次のように紹介しています。
http://www.awase.net/maekawa/kaibatu5msinsuiiki.htm
**************************
亀山 統一 かめやま・のりかず
琉球大学農学部亜熱帯農林環境科学科 森林保護学研究室
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~kameyama/
2012年1月26日
日本科学者会議沖縄支部総務 亀山統一様
兵庫県震災復興研究センターの出口俊一です。
1月14日にいただきましたご依頼へのご返事をお送り致します。
ご返事は、添付ファイルに入れております。
下記の北野正一常任理事(兵庫県立大学経済学部教授)のメールはすでにお手元に届いて
いると思いますが、どうぞよろしくお願い致します。
2012年1月15日
亀山統一様
兵庫県震災復興研究センター常任理事の北野正一です。
兵庫県立大学で経済政策をやり、その一環で内蒙砂漠化防止と畜産業振興を両立させる事業をやっています(添付)。関連で中国で森林率60%を勧める講演をしてきました。御依頼の件につき、適任者が見つかることを期待しています。
景観を維持しつつ防災やコミュニテイの形成に役立つ、伊瀬名島の出生率4を齎したのは福木の防災・防畑林だ、という筋で、津波被害に遭った東北を始め日本の海岸を防災森林で覆い尽くすことを夢想しています。沖縄は以前、福木がどこにでも沢山植えられていたと聞きます。
今度の辺野古等の埋め立ても対案として、南海地震等への対策を兼ねて、マングローブ等による防災、サンゴ礁の防災効果を強調すればどうか、と思案します。来るべき東南海大震災の防災をどうするのか、というのは大きなTopicsで、復興委の「減災」提案は、これに金を掛けない(対処しない)、各自が逃げろ、という意味と存じます。
福木、沖縄の森林率やその向上・利用策、Bio-energy利用の促進等に関わる資料をお持ちでしたら、送っていただけると幸いです。
取り急ぎ、ご返事まで。
貴センターの皆さまには、ご自身の課題である阪神・淡路大震災の復興問題も未解決で全力で取り組んでいらっしゃる中で、今回の私たちの問題に真摯なご検討を賜り、心よりお礼申し上げます。
ご返事については、大変残念ですが、専門性が問われる仕事でありますので、みだりにお引き受けになれないという事情は大変よく理解しております。ありがとうございました。
いただいた文書について、泡瀬干潟を守る連絡会でよく検討したいと思いますが、亀山が一読しても、おまとめいただいたコメントは大変示唆に富み、私たちの運動に有用と思います。お許しいただければ、整理して、守る会のウェブページに掲載する、あるいは裁判資料の活用するなど、ぜひ日の目を見させたいものであります。勿論、書式を整えるに当たっては、貴センターと連絡を密にして作業を進めますが、そのようなことは可能でしょうか?
なお、先便でご紹介しそびれましたが、泡瀬干潟埋め立て問題は、JSA会誌2010年8月号に下記特集記事を掲載しております。御高覧いただければ幸いです。
前川盛治(2010)泡瀬干潟埋め立て問題と市民の取り組み(『日本の科学者』45(8)16-21)
【連絡先】
兵庫県震災復興研究センター
650-0027
神戸市中央区中町通3-1-16、サンビル201号
電 話:078-371-4593
ファクス:078-371-5985
Eメール:td02-hrq@kh.rim.or.jp
ホームページ:http://www.shinsaiken.jp/