兵庫県震災復興研究センター

阪神・淡路大震災の直後の大混乱の中で、いち早く被災者の暮らしの復旧、被災地の復興を目標として、日本科学者会議兵庫支部と兵庫県労働運動総合研究所が共同で個人補償の実施を中心内容とした「震災復興のための提言」を1月 29日に国と被災自治体に提出しました。そして、この2つの研究機関を母体に1995年4月22日、兵庫県震災復興研究センター(震災研究センター)が設立されました。

阪神・淡路大震災被災地での「借上公営住宅」からの追い出しストップ署名の再度のお願い

2012年1月24日
兵庫県震災復興研究センターの出口俊一です。

阪神・淡路大震災被災地での
「借上公営住宅」からの追い出しストップ署名の再度のお願いです。

1.昨年11月中旬から開始しました本署名の第1次集約は、下記の通りです。        
  ●神戸市宛    525

  ●兵庫県宛    374

  ●首相宛     2633(13都府県)

           3532

 

  東日本大震災被災地の岩手、宮城、福島の3県をはじめ栃木、東京、千葉、神奈川、山梨、
 岐阜、京都、奈良、大阪、兵庫の13都府県に広がっています。
  3月の第2次集約に向けて再度、署名のお願いです。

2.趣旨
 阪神・淡路大震災の復興公営住宅として、民間住宅やUR住宅が借り上げられ、多数の被災者が入居していますが、いま、神戸市は契約期間が終わるという理由で、転居を迫り、すでに住み替えが強行されています。被災者の声も聞かないままに、立退きを迫るのは、高齢の被災者の健康や安心を脅かす重大な問題です。
 孤独死が多発する中で、復興住宅でのコミュニティが大切ということは、阪神大震災で明らかになった重要な教訓です。震災から17年近くも経って、住まいの安心が行政の手によって脅かされる事態=“復興災害”は何としても避けなければなりません。
そのため、この度追い出しストップを求める署名活動を始めます。年の瀬を迎え、何かとお忙しい時期ではありますが、署名活動にご協力いただきますよう心よりお願い申し上げます。 
                
3.具体的なお願い
(1)署名用紙は、添付ファイルにあります。
  

 「借上公営住宅」居住継続要請署名(両面)(Word/docx)
   ⇒ご賛同いただける方は、この署名用紙をお使い下さい。
    全国各地から賛同の声を集めることを目的にしています。

 「借上公営住宅」居住者からのお願い(兵庫県)(Word/docx)
   ⇒兵庫県営住宅への入居者が対象です。

 「借上公営住宅」居住者からのお願い(神戸市)(Word/docx)
   ⇒神戸市営住宅への入居者が対象です。

(2)県営・市営住宅、何れも個別訪問を基本にしますが、署名用紙を各住宅に配布していただくこと
 も大いに歓迎します。署名用紙の増し刷りが必要な場合は、事務局にご連絡下さい。
  また、住宅の配置図は、事務局にありますので、これもご連絡下さい。

(3)署名用紙の呼びかけ欄には、取り組んでいただきます団体名を書き込んで下さい。また、この
 メールの転送・転載は、大歓迎です。

(4)下記は、参考資料です。
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【参考資料】
朝日新聞(2012年1月15日付)■
 阪神大震災―貝原前知事に聞く(上)
 http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000001201160005

◇復興住宅 自主的転居期待した
 阪神大震災から間もなく17年。高齢化した被災者の転居が課題として残る借り上げ復興公営住宅、そして県が住宅再建の切り札として打ち出したものの、全国化のめどが立っていない共済制度――。被災者の住まいをめぐる二つの課題の「原点」について、当時の知事・貝原俊民氏(78)に話を聞いた。

――借り上げ復興公営住宅の契約は20年。契約が終わる時に転居できなくなる人が出るとは、当時は考えなかったのか。
 20年というのはかなり長い。入居者が自主的な対応をして頂けると思った。
 借り上げ方式を取り入れたのは、民間活力を活用しようということ。公営住宅を、すべて行政でやるとなると、社会主義方式みたいになって硬直的になる。
 それよりは民間が建設して、被災者が「ここに入りたい」と入る方が、行政よりはるかに需給に合っていて、実態に即している。しかし(被災者向けの家賃と実際の家賃との差額を)財政補助をしないといけないので、限度もある。戸数も期間も限定してやった。
 ――当時としては、契約期限が切れても再延長できると考えたのか。
 そんなことは考えてなかった。
 ――転居が問題になると想定していなかったということか。
 想定してなかったというよりは、むしろ20年の間に「自分たちで判断をしてください」という期待を持っていた。
 仮設住宅でもそう。法律で2年と決まっていた期限を延ばしてもらい、全員退去してもらった。(復興公営住宅完成まで民間家賃を一部補助するなど)できるだけ仮設住宅から自立できる政策を採った。それと同じで借り上げ住宅も誘導政策をやれば、終の棲家に移られるという期待を持っていた。
 ――県も現在、転居してもらうための支援金制度を設けているが、それでも高齢で「転居は困難」という人はいる。
 移る手立ては県でも検討するだろう。(契約期限の)20年までには、ちゃんとした対応を入居者もされるだろうし、行政も考えれば、どうにも解決できない課題ではないと思う。(聞き手・井石栄司)

◇将来の負担避け「借り上げ方式」
 当時の県住宅建設課長で現・伊丹市長の藤原保幸さん(57)にも話を聞いた。転居問題の元には、(1)「県と神戸市のせめぎ合い」、(2)「将来的な負担を避けたいと考える財政部局の意向」があったと説明する。
 当時県は、財政力のある神戸市内には県営住宅を建てないというのが原則だった。しかし神戸市は、建て替え費用など将来の負担増を懸念。大量の市営住宅供給に慎重になっていた。最終的に県が折れ、神戸市内に県営住宅を供給することになったという。
 将来的な財政負担を懸念したのは県の財政部局も同じで、一部を借り上げ方式にすることを主張したという。藤原さんは「買い取りがいい」と反論したという。国の手厚い支援がある復興公営住宅を大量に造っておき、将来は一般の県営住宅として使えばよいと財政部局を説得した。しかし、財政部局の考えが採用されたという。

◆◆ 借り上げ復興公営住宅 阪神大震災後、県が都市再生機構(UR)から、被災者向けに2255戸を借り上げた。県とURの賃貸契約は20年間。2016年以降に期限切れを迎え、入居を続ける場合は県の補助を受けられなくなり本来の家賃を払うことになる。県が11年に住民を対象に実施した意向調査では、3割が「転居は困難」と回答。その8割が65歳以上だった。

神戸新聞(2012年1月14日付)■
 借り上げ復興住宅 震災前から暮らす住民に不安 
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004742133.shtml

 阪神・淡路大震災の被災者向けに神戸市が民間などから借り上げた復興住宅が2015〜23年度に返還期限を迎える問題で、震災前から同じ場所に暮らしている住民が不安を募らせている。「戻り入居」として優先的に借り上げ住宅に入ることができたものの、転居を迫られる事態に。住民らは「震災を挟んで続いている地域コミュニティーが壊れてしまう」と訴えており、「転居拒否」を決議する住宅もある。(岸本達也)

 「この場所に40年住み続け、震災のときも地域で助け合った。ほかには移れない」。神戸市長田区東尻池町の借り上げ復興住宅に暮らす友光登美子さん(68)は嘆く。

 震災前に住んでいた長屋は全壊したが、家主が同じ場所に5階建てのマンションを再建。市が20年契約で借り上げ、友光さんら同じ長屋にいた5世帯が避難先などから戻ってきた。

 だが、家主への返還期限は5年後。今は市の補助で家賃が低く抑えられてるが、返還後は入居者負担が増えるため、友光さんは「私も含め、多くの住民が住めなくなる」と訴える。

 もともと住民同士の結びつきが強い地域で、震災直後は長屋前の公園に集まり、食料を分け合った。友光さんも長屋の布団をあるだけ取り出し、公園に運んだ。

 同じマンションの新井清子さん(62)は長屋時代からの友人で、毎夏の地蔵盆では準備に精を出す。友光さんは「同じ住宅には90代の高齢者もおり、声を掛け合って暮らしている。頼むからここにおらして」と懇願する。

 神戸市の借り上げ復興住宅はピーク時107団地3805戸あり、うち民間からの借り上げは76団地1527戸。友光さんのように、震災前、同じ家主の建物に住んでいた住民は「戻り入居」として入居が優先された。市によると、当初は110〜120戸あったとみられるが、「ほかの借り上げ住宅と差が出るのは不公平になる」として、予定通り返還を進める方針だ。

 一方、市が2007年に行った民間家主へのアンケートでは約7割が借り上げ期間の延長を要望。昨年7月には、延長を求める家主たちの協議会も発足した。

 「戻り入居」が多い同市兵庫区内の二つの借り上げ住宅では昨年、全世帯が転居しないことを確認するなど、住民の動きも活発化している。

MBS放送・ネットワーク1.17(2011年11月21日)■
 http://www.mbs1179.com/117/
 楽屋話
 http://cgi.mbs.co.jp/cgi-bin/fixf/view.cgi?&ID=117&LINE=20
 音声
 http://www.mbs1179.com/117_p/

神戸新聞(2011年11月19日付)■
 借り上げ復興住宅 期限延長求め、所有者ら会合 
 http://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/0004627928.shtml

 阪神・淡路大震災の被災者向けに神戸市が借り上げた復興住宅が2015年度から順次返還期限を迎える問題で、市に住宅を提供する民間オーナーでつくる「民間借上復興住宅所有者協議会」(岸本信行会長)は18日、同市兵庫区内で会合を開き、借り上げ期限の延長を求める要望書を近く市長に提出することを決めた。

 借り上げ復興住宅の契約期限は最長20年。市は期限後はオーナーらに住宅を返還する方針で、現在、入居者の住み替え策を進めている。

 協議会は7月に設立。会合では「オーナーには十分な説明がない」「空き部屋があるのに、新たな入居者を募集しない」など市の姿勢を疑問視する声が続出した。

 要望書では、市に協力して住宅を建設した経緯から、少なくとも建設ローン返済までの契約延長を求めている。市との直接交渉も求める。

 また、復興制度に詳しい津久井進弁護士が講演し「契約延長は法的に問題ない。入居者の住み替えは、震災の教訓として神戸が発信した『コミュニティーの大切さ』を自ら壊すようなもの」と述べた。同協議会TEL078・821・1582(岸本会長)

(岸本達也)

■「毎日新聞」(2011年11月12日付)■
 阪神大震災:復興住宅借り上げ、県に契約延長要望へ
 http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20111112ddlk28040426000c.html

◇市民団体、16日から署名活動
 阪神大震災(95年)で住居を失った被災者のために県や市が都市再生機構(UR)や民間オーナーから20年の期限で借り上げた復興住宅の契約終了が迫っている問題で、24の市民団体でつくる「被災地と被災者を考える懇談会」(河村宗治郎世話人)は入居者らを対象に、契約延長を県などに要望する署名活動を16日から始める。

 借り上げ復興住宅は神戸市約3800戸▽県2300戸▽西宮市約400戸−−など。契約期間は16年12月〜20年5月に満了し、その後は神戸市は契約は延長せず転居を求めることを決めた。県は一部は棟単位での買い取りを検討する一方で早期に住み替える住民には最高30万円の支援金を支給する方針。宝塚市は契約延長をURと協議するが、他市は対応を決めていない。

 これに対して河村さんらは、県が昨年10月に入居者に実施したアンケートでは、特に神戸市の借り上げ復興住宅の高齢化率が6割近くに上っていた点を指摘。「今からの家探しは無理だし、精神的に追い詰められたお年寄りも多い。せっかくコミュニティーが出来たのにそれを壊して、行政が孤独死を増やしてしまう」と訴える。

 16日に神戸市中央区の神戸マルイ前で街頭署名活動に取り組むほか、19日以降は借り上げ復興住宅を回って入居者らから署名を集める。来年1月17日に県、各市や政府に提出する。【錦織祐一】

〔神戸版〕

■「神戸新聞」(2011年11月11日付)■
 復興住宅、入居延長求め 市民団体署名活動へ
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004610140.shtml

 阪神・淡路大震災の被災者向けに自治体が借り上げた復興住宅(借り上げ住宅)が2015年度から順次返還期限を迎える問題で、24の市民団体でつくる「被災地と被災者を考える懇談会」(神戸市兵庫区)は10日、県庁で会見し、入居期限の延長を求める署名活動を始める、と発表した。

 県や神戸市などは震災後、最長20年の契約で都市再生機構(UR)や民間などから住宅を借り上げ、被災者に提供してきた。今年9月時点で県営の2076戸、神戸市営の3376戸に入居。15年度から契約期限を迎えるため、住み替えのあっせんを進めている。

 懇談会世話人の河村宗治郎さんらは「高齢化した入居者に今さら転居を迫るのは酷だ。実際、転居をするのも困難」「せっかく築いたコミュニティーが転居で失われれば、孤独死を生む」などと指摘。署名は、入居者と支援者合わせて1万人を目標とし、来年1月、首相や知事、各市長あてに提出するという。

 今月16日正午〜午後2時、神戸・三宮の神戸マルイ前で署名を募る。懇談会の河村さんTEL078・651・0259
(岸本達也)

■「産経新聞」(2011年11月11日付)■
 借り上げ復興住宅、入居継続求める 兵庫
 http://sankei.jp.msn.com/region/news/111111/hyg11111102220001-n1.htm

◇「高齢者に移転は無理」 支援団体、16日から署名活動
 阪神大震災の被災者のため県や神戸市などが借り上げている公営住宅(借り上げ復興住宅)について、被災者が入居期限(20年)を理由に退去を迫られるのは問題だとして、被災者支援の24団体でつくる「被災地と被災者を考える懇談会」のメンバーらが10日、県庁で会見。「高齢化した入居者では転出先を見つけにくい」などと実情を訴えた。16日に街頭などで入居継続を求める署名活動を始める。

 借り上げ復興住宅制度は公営住宅法改正で平成8年から県や神戸市などが導入。民間のマンションなどを自治体が借り上げ、県の場合、家賃の3分の2を支払っている。入居戸数は現在、県の管理で約2100戸、神戸市で約3300戸という。

 会見では、懇談会メンバーで被災者支援に携わる県被災者連絡会の河村宗治郎会長(74)らが説明。神戸市が借り上げた復興住宅の入居者が、入居を継続する場合は現在より高い家賃を支払うなどの条件を示され、「不安を感じている」と指摘。「高齢化した入居者の移転は無理。20年の期限について入居当時に周知徹底していたとはいえず、行政として被災者への責任を果たしているとはいえない」と語った。

 懇談会は16日から、入居継続を求めて街頭などで署名活動を展開。来年1月17日に各自治体に提出することを目指す。これに対し神戸市は「毎年約14億円を借り上げ住宅関連で計上しており、財政負担が大きい。市営住宅への移転も提案している」と理解を求めている。
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