兵庫県震災復興研究センター

阪神・淡路大震災の直後の大混乱の中で、いち早く被災者の暮らしの復旧、被災地の復興を目標として、日本科学者会議兵庫支部と兵庫県労働運動総合研究所が共同で個人補償の実施を中心内容とした「震災復興のための提言」を1月 29日に国と被災自治体に提出しました。そして、この2つの研究機関を母体に1995年4月22日、兵庫県震災復興研究センター(震災研究センター)が設立されました。

6・15参議院災害対策特別委員会での質疑−中間報告パブコメ、災害救助法、災害復興基本法案など−のご紹介

2012年6月19日
兵庫県震災復興研究センターの出口俊一です。

6・15参議院災害対策特別委員会での質疑
−中間報告パブコメ、災害救助法、災害復興基本法案など−のご紹介です。

平戸潤也氏のメールを同氏の了承を得ましたので転送致します。

参議院災害対策特別委員会での質疑の中では、以下のような件もあります。

「今年の一月十七日にクリエイツかもがわから出版された「『災害救助法』徹底活用」に
多くの事例や提言が掲載されていますが、現場やそこにかかわる学者からの提言を真摯
に受け止めていただき、事務取扱の改定を行っていただきたいのですが、そうした検討は
されているのでしょうか」

ご参考までに、4月に中央防災対策推進検討会議に提出しました「意見書」と政府の
回答は、当センターのホームページにアップしています。
http://www.shinsaiken.jp/

以上です。

【連絡先】
兵庫県震災復興研究センター
650-0027
神戸市中央区中町通3-1-16、サンビル201号
電 話:078-371-4593
ファクス:078-371-5985
Eメール:td02-hrq@kh.rim.or.jp
ホームページ:http://www.shinsaiken.jp/

----- Original Message -----
From: "川田龍平事務所(平戸)"
Sent: Monday, June 18, 2012 5:05 PM
Subject: 6・15参災害特質疑(中間報告パブコメ、災救法、災害復興基本法試案など)


こんにちは、平戸です。

先週金曜日の参議院災害対策特別委員会で、出口さんが問題にされていたパブコ
メの件や、災救法の問題や、災害関連死や広域避難の問題などを取り上げました
ので、議事速報をお伝え致します。15分しかなく、それぞれについて突っ込んだ話は
一切できていませんが、項目として取り上げたというところです。なお、議事録は未定稿
なので、正式版では変更があることをお許しくださいませ。

災害復興基本法試案、七つの配慮、三つの尊重事項、十の留意事項、および試案
の逐条解説を全委員に配布資料として配布して、コメントもいただきました。もちろん、
内閣府防災担当や政務の方等にも資料が行きわたりました。内閣府防災担当でも、
存在自体知らない方が多く、存在をまず知っていただいた、というところからスタート
させていただきました。
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川田龍平君 みんなの党川田龍平です。
 まず冒頭に、この度の竜巻被害で被災された方々への心からのお見舞いを申し
 上げます。
 今後、国による災害対策がより被災当事者の方々の真の人間性回復からの、全
 体からの復興がなされるように審議を尽くします。
 質問に入ります前に、昨日の東日本大震災復興特別委員会で、子ども・被災者
 支援法案が全会派一致で提出され、本日、参議院の本会議で可決、成立をいたし
 ました。発議者の一人として御礼を申し上げますとともに、衆議院におかれまし
 ては速やかに審議を成立していただくようお願いします。
 本法案は、広域自主避難の方々への支援、外部被曝内部被曝から特に子供や
 妊婦を始めとした被災者、国民の命を守るための方策、例えば食品検査体制の整
 備など、食品の安全確保などの、具体的に政府が基本方針や計画を定めて行うこ
 とを決め、さらに子供の医療費の減免も、国に放射線による被害ではないという
 立証責任を負わせるという、いわゆるネガティブリスト方式の画期的な法律です。
 この法律が初めて、東日本の被災地、被災者の生活だけでなく、全国の人にとっ
 ても大きな希望の萌芽となると期待されています。
 この法案が内閣からは出ずに議員立法でということで、成立まで構想から一年
 近くたってしまいました。改めて、今の政権が政治主導による政策決定がなされ
 ない現状に絶望もしましたけれども、しかしながら、この法律の精神は、まさに
 以降質問することともリンクしてきますので、大臣や委員の、議員の先生を始め、
 子ども・被災者支援法についてを是非知っていただいて、最大限活用していただ
 けるように御協力と、是非実施していただきますようにお願いいたしたいと思います。

 質問に入らせていただきます。
 この中央防災会議・防災対策推進検討会議の中間報告が今年の三月七日に発表
 されました。このパブリックコメントが募集され、その結果の概要とパブコメに対する
 考え方が先週七日の第十回会議で示されました。ここでは様々な意見が出されてい
 ますが、多くのものが御意見として承りますとしか書かれていません。
 特に、重要で本質的な意見に対しそうした回答がなされており、残念でなりません。
 例えば、災害救助法の所管を内閣府に移管せよという意見もありました。昨年
 五月二十一日の厚生労働委員会でも私はこの問題を指摘させていただきましたが、
 内閣府がリードしてやっていくことは何ら検討されていないのだとしたら、大変がっかり

 しています。また、危機管理庁を設置すべきというものもあります。昨年六月十五日の
 当委員会で放射線防護庁をつくるべきという提言もさせていただきました。
 まさに省庁横断的に取り組まなければならない問題について、この災害大国である
 日本で東日本大震災についてだけの復興庁しかつくられないのでは、国民の命を守れ
 ません。
 さらには、広域避難というものがたくさんされている中で、誰がどこに避難しているの
 かを把握するための仕組みであったり、また高齢者や障害者といった要養護者の情報
 を共有して援助ができるようにするということも、昨年五月十八日の当委員会において、

 昨年五月二十一日の厚生労働委員会においても、具体的に対応方法まで含めて指摘
 をさせていただきましたが、それも今回、やはり御意見として承るということだけしか書い
 てありません。
 一体、抜本的に災害法体系を見直すつもりがあるのでしょうか。上記三つ挙げた具体
 例に対し、今後、どのような見通しがあるのかをお答えください。

国務大臣中川正春君) まず最初に、先ほど議員立法のお話が出ましたが、本当に
 きめ細かく大事なところを参画をしていただいて議員立法にまとめていただいたこと、
 私からも感謝を申し上げたいというふうに思っております。
 今回提出させていただいた法案というのは、まずできるところからということでありまして、
 まだ出発点です。これから本格的に先ほど御指摘されたような点についてはまとめて、
 そして法案化するところは法案化していく、あるいは制度としてつくっていくところは制度を
 つくっていくということで頑張っていきたいと思いますので、是非引き続き議論を、参加して
 いただいて、一緒にお願いをしたいというふうに思っております。
 一つは、救助法なんですが、これも私も同じような思いを持っておりまして、ちょっと事務的
 にでもしっかり、どういう、いわゆる移管したときにどういう問題が出るのか、あるいは今の
 ままでどこがネックになっているのかを整理して、その上でちょっと議論の俎上にのせてい
 きたいというふうに思っていまして、そんなプロセスで今やらせていただいています。
 それから、危機管理庁なりあるいは防災庁なりそういう組織の問題、これについても、
 よくアメリカのFEMAのような体系も含めて議論すべきじゃないかということを御提起を
 いただいています。これについてもしっかりとした議論をしていきたいというふうに思って

 おりまして、今の体制の中でどういう組織形態にするのがいいかというのはこれからの
 議論ですが、しかし、御指摘のように、総合的に強い組織を持って統括をしていくということ、
 これはもう必要なことだと思っておりますので、組織的にもそれが可能になるような議論を
 是非していきたいというふうに思っております。
 それからもう一つは、何でしたでしょうか。

川田龍平君 広域避難者の。

国務大臣中川正春君) 広域避難者ね。これについても、実はそれぞれ、特に首都
 直下であるとかあるいは南海トラフについてはいわゆる切迫性があるということに、
 専門家の指摘がありまして、それを具体的に、もう少しそれに特化した形でいわゆる
 法案としてまとめていく、あるいは政策として具体的につくり上げていくということ、
 まずこれを先行して今やっていますが、その中でも協議会をつくりまして、それぞれ
 具体的な県、市町村あるいは関連機関ですね、民間も含めて、それがトータルで議論
 ができるような場づくりをしていこうというので、
 首都直下もそれから南海トラフも全体のそうした意味での協議会をつくりました。
 それをもう一つ南海トラフの場合はブロック化していきたいと思うんですが、その中で、

 先ほどのようなお話についても是非具体的に計画の中に盛り込めるようにつくっていき
 たいというふうに思っておりまして、そんな努力は続いておりますので、また御提言いた

 だければ有り難いというふうに思います。

川田龍平君 昨年の五月十八日に当委員会で質疑をさせていただきました。広域避難
 というのは遠い距離を移動している避難者のことで、是非自治体間のそういった避難を
 した人たちがどこにいるかということを把握できるかのような、そういった仕組みというの
 を是非提案していますので、それについて具体的に検討していただきたいということと、

 それから、高齢者やそれから障害者といった要介護者についての情報を是非共有して
 いただきたいということ、それについてはいかがですか。

国務大臣中川正春君) それについても問題意識を持っています。特に、いわゆる
 個人情報保護法との関係をどうするかということ、これがそれぞれ現場で問題点として
 出ておりまして、災害のときに過剰に個人情報だからということで活用ができないという

 ことであってはならないんではないかという御指摘があります。その辺も押さえて、総合

 的にシステムとしてつくっていくということが大事だと思っていますので、これも検討して
 おります。

川田龍平君 ありがとうございます。済みません、ちょっと時間がありませんので、端的

 に答弁、お願いします。
 続きまして、防災対策推進検討会議の最終報告はいつまでにして、上記のパブコメへの
 対応も含めどこまで盛り込むのか、いつまでも議論ばかりをしていては、いつ次の災害が

 起こるかも分かりません。早く具体化をして、先送りをしないでいただきたいと思います。

 意見を聞き置くというだけではなく、何をいつまでにどこまでやってくれるのかを示されな
 ければ、法改正や法の運用も含めて具体像が全く見えません。どういうスケジュールで
 災害対策法制全体の見直しを行っていくのかを端的に御説明ください。

国務大臣中川正春君) 今秋の、今秋というのは今年の秋ですね、の臨時国会にもう
 一つ出す、それから、最終的には次期通常国会に向けて法制として整理ができるように
 頑張っていきたいというふうに思います。

川田龍平君 ありがとうございます。
 法の運用に関しては、例えば災害救助法の運用について、昨年三月二十四日、二十五日
 の厚生労働委員会でも指摘させていただきましたが、二十三条で生業、なりわいに必要な

 資金、器具又は資料の給与又は貸与があり、第二項には、救助は、都道府県知事が必要
 であると認めた場合においては、前項の規定にかかわらず、救助を要する者に対し、金銭

 を支給してこれをなすことができるとの条文があります。しかし、厚労省の職員が作成した
 災害救助事務取扱要領に基づいて、現物給付だけで、現金給付をしておりません。実施要

 領をしゃくし定規に採用するのではなく、条文どおり法律に基づいて実施すべきではないで
 しょうか。
 今年の一月十七日にクリエイツかもがわから出版された「『災害救助法』徹底活用」に多くの
 事例や提言が掲載されていますが、現場やそこにかかわる学者からの提言を真摯に受け止

 めていただき、事務取扱の改定を行っていただきたいのですが、そうした検討はされている
 のでしょうか。
 現金支給に関しては、中間報告のパブコメに対しても検討を進めるとの回答がありますが、

 具体的にいつごろ、どういう検討結果が出されるのでしょうか。
 それぞれ、厚労省内閣府に伺います。

大臣政務官(津田弥太郎君) 川田委員にお答え申し上げます。
 この災害救助法に基づく救助というのは、災害に対して応急的に必要な救助を行い、応急的
 に、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的に実施をされるというこ
 とでありまして、現に救助を必要とする者に対して現物をもって行うことというふうにされている
 わけでございます。
 被災者の方々の生活再建、こちらの方につきましては、雇用調整助成金の活用、あるいは

 長期かつ低利の公的貸付制度、これらが整備、拡充をされておりまして、これらの制度を活用
 することにより、被災者の早期生活再建を支援しているわけでございます。
 災害救助法では、例外として現金給付ができるという規定があるわけでございますが、これは
 真にやむを得ない場合、例えば火葬を御遺族が早くしたいということで先に火葬をされて、その後、
 その費用をお支払いするというのがこういうケースに当たるのではないかというふうに思っておる
 わけでございますが、こういう対応、真にやむを得ない場合、しかも現金の支給によって救助の
 実効が期待できる場合に限って行うべきというふうに考えておるわけでございます。
 この御指摘の現金給付につきましては、防災対策推進検討会議、ここでも検討課題となっており
 まして、全体の見直しをしていくということになっておるわけでございます。

国務大臣中川正春君) 現況の法の仕組みというのは、先ほど厚生労働省からの説明なんで
 すが、それを含めて、さきの防災対策推進検討会議で最終報告に向けて議論を決着させていき
 たいと思います。

川田龍平君 中間報告で災害関連死の認定手続の仕組みの確立についても御意見として承り
 ますとされていますが、この問題も何度も私が厚生労働委員会に取り上げさせていただいており
 ます。
 自治体の役割だとは承知していますが、当時の厚生労働副大臣からも検討するとの回答も得て
 いますので、それが一年以上たってもいまだに放置されていると、こんなことで東日本大震災
 教訓を今後に生かすことができるんでしょうか。
 そして、その答弁は回しますが、最後になりますが、資料を配付させていただいております、この
 関西学院大学災害復興研究所が東日本大震災の前年にまとめた災害復興基本法試案です。

 試案の前提となる七つの配慮、被災地の自決権、復興の個別性、被災者の営生権、法的弱者
 の救済、コミュニティの継続性、一歩後退の復興、多様な復興指標といった配慮、また、被災者
 の主体性の尊重、被災地の地域性の反映、人間復興を推進する基盤の構築といった三つの

 尊重事項にまつわる資料にありますような十の留意事項、こうしたものを阪神大震災の被災の
 経験から十六年、事例については一九九一年の雲仙普賢岳の噴火災害以降の事例から洗い出
 してまとめられてあります。
 災害復興哲学の成果として発していたのに何の対応もされないまま、しかもこの翌年に当たる
 昨年の東日本大震災によって三万人もの命を奪った大災害があったにもかかわらず、抜本的な
 災害対策法制が改正されずにその場その場での対応となっている現実、この試案について、政

 府はどのような評価をされているんでしょうか、中川大臣、お答えください。
 それでは、この法改正にどのように生かしていけるのかを是非、最後に大臣にお伺いして私の
 質問を終わりたいと思います。

国務大臣中川正春君) 復興という課題については、それぞれ災害が、大災害が起こった、
 その災害についての特別法で復興法あるいは復興計画というのがなされていまして、そういう
 体系で進んできました。
 ここでも御指摘のように、そういうことではなくて、恒常的な復興ということについての枠組みを
 恒常的に法制化していくということ、これが一つの課題だというふうに思います。そういう面では
 この試案というのは非常にいい視点を与えていただいたんだということ、そういうふうに受け止
 めさせていただいております。
 そういうことで、そうした体系、今の基本法の中でそれをやっていくのか、あるいは新たに作って
 いくのか、そんなことも含めて検討しながら復興というものについても取り組んでいきたいという
 ふうに思います。

川田龍平君 ありがとうございました。
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