兵庫県震災復興研究センター

阪神・淡路大震災の直後の大混乱の中で、いち早く被災者の暮らしの復旧、被災地の復興を目標として、日本科学者会議兵庫支部と兵庫県労働運動総合研究所が共同で個人補償の実施を中心内容とした「震災復興のための提言」を1月 29日に国と被災自治体に提出しました。そして、この2つの研究機関を母体に1995年4月22日、兵庫県震災復興研究センター(震災研究センター)が設立されました。

「借上公営住宅」問題の報道をご紹介します。

2012年12月30日
兵庫県震災復興研究センターの出口俊一です。

「借上公営住宅」問題の報道をご紹介します。  

1.「神戸新聞」(2012年12月29日付、一面トップ)

 県の借り上げ復興住宅、入居延長へ 年齢や障害条件
 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201212/0005634020.shtml
 阪神・淡路大震災の被災者向けに兵庫県が借り上げた復興住宅が2016年度から順次、返還期限を迎える問題で、県は28日までに、年齢や障害の有無を条件に、一部住民の継続入居を認める方針を固めた。本年度中に、専門家による検討協議会で具体的な条件を決める。(木村信行、黒田勝俊)


 震災後、県が都市再生機構(UR)から借り上げた復興住宅はピーク時で約3千戸。現在は神戸、尼崎、西宮、明石市内の37団地、1865戸に入居している。

 県はUR住宅と県営住宅の家賃差額分を負担。11年度までに計292億円を支出した。単年度では約12億円に上り、契約を延長すれば財政を圧迫するとの指摘もあった。

 県が11年、住み替えの意向調査を実施したところ、約3割が「困難」と回答。このため、県は退去期限前に住み替えた入居者に最大30万円を支給する制度を設け、今年11月末までに171世帯が転居した。1月には福祉や住宅の専門家ら14人による「活用検討協議会」を発足し、入居継続の可能性を検討してきた。同協議会は今後、年齢など継続入居を認める具体的な条件を詰め、県に提言する。

 井戸敏三知事は「住み替えてもらうのが原則だが、どうしても困難な入居者には公平性を考慮した上で適切に対応する」と延長に言及。棟ごと借り上げているUR住宅の買い取りも「検討している」とし、来年3月までに結論を出す方針だ。

 一方、神戸市は15〜23年度の返還期限を前に、市営住宅への早期住み替えをあっせんしている。全戸の返還方針に変わりはないというが、矢田立郎市長は「障害者や要介護度の高い人については、市会の与党会派からも対応を問われている。どこかで答えを出さなければいけない」と話す。尼崎市の担当者は「県や他市の動向を見て判断したい」とする。

 兵庫県震災復興研究センターの出口俊一事務局長は「年齢による線引きでは新たな不公平感を生む可能性がある。体調不良の若年者もおり、個別の事情をくみ取るべき。一歩前進であり、他の被災市も契約延長に踏み込んでほしい」と話している。

 【借り上げ復興公営住宅

1996年の公営住宅法改正で導入。兵庫県と神戸、西宮、尼崎など被災各市は仮設住宅後の「終(つい)のすみか」として約4万戸の災害復興公営住宅を整備。このうち約8千戸を公団や民間から借り上げた。だが、20年の期限付き契約のため、2015年度から順次、返還期限を迎える。宝塚市は全30戸の延長を決めている。

2.「読売新聞」(2012年12月29日)

  復興住宅 借り上げ延長…兵庫県知事方針
  

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121229-OYO1T00207.htm?from=newslist


 兵庫県井戸敏三知事は28日、読売新聞のインタビューに応じ、阪神大震災の被災者向けの「借り上げ復興住宅」が2016年12月以降、20年の入居期限を順次迎える問題について、条件付きで入居延長を認める考えを明らかにした。県の借り上げた住宅で退居が困難な高齢者らに適用し、支援するとしている。

 井戸知事は条件について「入居時に高齢だったり、重度の障害で移動ができなかったりする人」とし、来年3月までに県の第三者委員会で決めると表明。「延長すれば、『ついの住み家』として住み続けてもらう」と述べ、民間住宅の借り上げ期間延長や買い取りなどを進め、入居期限も設けないとの考えを示した。

 県が旧住宅・都市整備公団(現・都市再生機構)から借り上げた復興住宅では11月末現在、2017戸に1865世帯が入居している。(2012年12月29日 読売新聞)

3.「日本経済新聞」(2012年12月30日付)

 復興住宅の居住、高齢者は期限後も可能に 兵庫知事が意向   http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC2900R_Z21C12A2AC8000/

 兵庫県井戸敏三知事は29日までに、阪神大震災の被災者向けに都市再生機構(UR)から借り上げ、返還期限を迎える県営復興住宅について、期限後も高齢者の居住を認める意向を明らかにした。

 県は対象年齢について有識者の意見を踏まえて判断。復興住宅の借り上げ再契約と購入のどちらかを検討する。

 復興住宅は県が震災後、URから最長20年の契約で約3千戸を借り上げた。2016〜20年度に順次、返還期限を迎える。

 県はこれまで転居先の紹介や、引っ越し費用の一部負担で退去を促した。だが、居住者を対象にしたアンケートで、回答した約1200世帯のうち約3割が高齢などを理由に「退去は困難」とした。高齢者の移転が難しい状況が明らかになっていた。〔共同〕


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